大学生や社会人になりたての頃、周囲にちらほらと「マルチ商法」や「ネットワークビジネス」に関わる人が出てきますね。友人知人に勧誘を受けた人も多いと思いますが、実際に入会した人は言われるような「成功」を勝ち取ったのでしょうか。逆に入会しなかった人の率直な意見としては「なんとなく怪しい」だったと思いますが、ではこれらビジネスはどのような仕組みで成り立っていて、いったい何が問題なのでしょうか。いざという時の為にも?知っておいて損はありませんのでなるべく簡潔に解説します。
連鎖販売取引とは
これらビジネスは「マルチ商法(マルチレベルマーケティング=MLM)」や「ネットワークビジネス」「ピラミッド」など色々な呼ばれ方をしますが、法律上はほぼ「連鎖販売取引」と纏められています。そして連鎖販売取引とはそれを定義する「特定商取引法」によると「再販売すれば利益が得られるとの条件で商品やサービスを売買する事業」とされており、つまり「他の人勧誘すれば稼げるからまずコレ買って」とただこれだけです。よく「ウチはマルチじゃないから安心」などと言う業者も居ますが、これら形態に該当すれば全て「連鎖販売取引」=所謂マルチ商法となります。
ねずみ講との違い
よくマルチ商法と混同されていますが、ねずみ講は法律上「無限連鎖講」と定義されており、組織の形は「連鎖販売取引」と同様であるものの、「商品」が介在しません。「組織に加盟して他の人を勧誘すれば払ったお金が倍々になって還元される」と金員のみの配当を行い、つまり「連鎖」はしてますが「販売」はしていない訳です。そして「無限連鎖講」=ねずみ講は組織の運営も加盟も「違法」です。加盟者への罰則も厳しく「繰り返し勧誘をした場合1年以下の懲役または30万円以下の罰金」、たった1回の勧誘でも「20万円以下の罰金」ですから、とにかく関わってはいけません。他方、「連鎖販売取引」自体は組織を運営することも加盟して活動することも「合法」となっています。
ではマルチ商法の何が問題なのか
「連鎖販売取引は組織を運営することも加盟することも合法」と前述しましたが、それは「車に乗る事は合法」と同じく、問題は「乗り方」であって信号無視は違法ですし事故が起きることもあります。そしてマルチ商法は専門的な教育を受けておらず、関連法令も熟知しない消費者がそのまま販売を担当することになり、またそれら販売が自身の利益に直結していますので、必然的に以下のような問題が起きやすい傾向にあります。
- 事実との相違、誇張、湾曲を含む勧誘
- リスクや不都合な事実の説明をしない
- 強引な勧誘、断っているのに勧誘を辞めない
それはそうですね。プロでもないのにいきなり飛び込みの歩合制営業販売をやるようなものですから、難しいのは当然、やり過ぎてしまう訳です。そして同じくプロではないので顧客名簿もありませんから、勧誘するとなれば親族友人知人くらいしか居らず、人間関係に支障をきたす可能性があります。これは法律云々ではないので当職が強調するのもなんですが、それこそ人間関係は「返還請求」とはいきませんので、実はかなり重大かつ深刻なポイントだと思います。
組織自体に問題のあるマルチ商法
では問題があるのは一般会員の悪意無き暴走だけかというと当然そうではなく、殆どの場合組織自体がそれら違法ぎりぎりの勧誘を黙認、推奨していますし、それを理由に処分、逮捕された経営陣は少なくありません。また、上記でせっかく区別してまた混乱しますが、「ねずみ講まがい」のマルチ商法も存在します。マルチ商法とねずみ講の違いは「商品の介在」と述べましたが、商品の価値と金額が相応しないなど実質的に金員の配当が目的と判断される場合はねずみ講として処罰されます。つまり脱法狙いでお飾りの商品を付けても駄目ですよということですね。尚、近年は日本の法律の及ばない海外に籍を置いてこの辺ぎりぎりなマルチを展開している業者も増えており、そうなるとイコール詐欺悪徳とは言い切れませんが、何らかトラブルが発生した際に日本からの法的手続きは困難となりますので、充分に注意が必要です。
まとめとご案内
これら背景からマルチといえば当職宛には「○○社って大丈夫ですか」とか「洗脳された息子を改心させてください」のような相談ばかりですが、あしからずその辺は殆どご希望の答えを返せません。一方、契約者がマルチから脱会したいとなった際、上記特定商取引法のクーリングオフ・中途解約制度など救済措置が充実していますので、比較的簡単に解約出来る事例も多いですから、手続きが難しい場合などはご相談ください。
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