車の出張査定買い取りトラブル

近年、自動車関連の中で出張査定買い取りについての相談が増えました。調べたところ国民生活センターだけでも毎年1000件以上の相談があるそうです。個人としてそう頻繁に利用するサービスではありませんが、いざという時の防衛策に、または現在進行形のトラブルの対応策として、実際の相談事例を含め纏めます。尚、以下に記載するトラブル事例をご確認頂き、ご自身の件と類似する点などが少しでもありましたら一度直接お電話にてご相談頂くことをお勧め致します。当事務所では詳しく状況を伺ったうえ適切な対応をアドバイス致します。無料相談ご希望の方は以下の番号までお電話頂くかトップページ「無料相談はこちら」の中にあるメールフォームからお問い合わせ下さい。電話窓口: 03-5794-5106 (日祝除く午前10時から午後7時)

トラブル事例

高額なキャンセル料を請求された
急かされる形で契約してしまったが、やはり考え直し1日後にキャンセルを申し出たところ、キャンセル料として30万円を請求された。確認したところ契約書に小さく記載はある。支払わないといけないか。
強引に買い取られた
査定を依頼しただけだったのに「今日しか買い取れない」「この値段で買い取るのはウチだけ」と長時間勧誘され、根負けして契約してしまった。後日他の数社に聞いてみたところ倍以上の金額を提示する業者も居た。もうキャンセルは出来ないのか。
車を引き渡した後日、買い取り代金の減額を要求された
査定の結果、120万の買い取りで話が纏まった筈が、後日電話で「査定の際には判らなかった事故暦が発覚したので買い取り価格を50万円減額する」と一方的に言われた。応じる義務はあるのか。
買い取り代金が支払われない
30万の査定で合意、車を引き渡し代金の支払期日が過ぎたが振込みが無い。業者・担当者に連絡をするも繋がらない。

クーリングオフの対象外

販売方法を問わず、自動車は各法令のクーリングオフ対象外となっており、去る平成25年2月21日に訪問買い取りの規制を含めて改正した特定商取引法からもやはり除外されました。「車の契約には即時性が無い(=商品の性質として消費者に検討の余地が充分確保されている)」といったようなことが主な理由とされていますが、特に高額な契約ですし上記のような状況も想定される訳で、なぜ車だけが?と消費者感覚では中々理解出来ないものがありますね。年間数百万台といった規模の販路にそれら制度を組み込む負担が大き過ぎるといったところなのかもしれませんが、いずれにせよ現状、車は買うにしろ売るにしろ自己都合による無条件の契約解除が法律上認められていませんので、業者が自社のサービスとして定める以外「クーリングオフ」の主張は出来ません。

キャンセル料・違約金は何処までが妥当か

クーリングオフはありませんので、自己都合による契約解除の場合、キャンセル料や違約金を負担するのが通常で、殆どの場合契約書に規定されています。では言われるがまま金額を支払わなければいけないのか、というと、「その時点で業者が被った損害に相当すると判断される金額であれば認められる」といった考え方が基本になります。自動車界隈ではよく売買代金の2割、3割といった形の一律で違約金を取り決めることが多いのですが、では仮に100万の契約を結んだ直後にやはりキャンセルをする場合、業者には特に損害が発生しておらず、20万も30万も違約金が徴収されるのはおかしいですね。人件費や通信費なども通常業務の範囲であれば必要経費であって損害とは見られません。では時間も過ぎ業者が様々な手続きを進めてしまった場合、違約金の負担が認められる可能性は高くなるものの、発生した損害の状況は消費者側からは確認出来ず、請求根拠の立証は業者が行わなければいけません。つまり、いずれにせよ「その時点で業者が被った損害に相当すると判断される金額」以上、通常の取引で得られるであろう利益分などは殆ど認められません。

後の減額要求をどう捉えるか

実は一番多いのがこの相談です。前提として、殆どの契約書に「査定時に判明しなかった瑕疵が後に発覚した場合は減額あるいは契約解除を認める」旨の規定が入っています。確かにこれら査定の状況ではいくら専門家といえども詳細の判断が難しく、しかしそのような「出張買い取り査定」の取引形態を策定、維持しているのは他ならぬ業者側であって、そこに含まれるリスクを全て消費者の責任とするのは不公平です。そして仮にこれら要求が認められるのであれば業者は他のライバルに先駆けてとりあえず高額な買い取り額を提示すれば良い、となりかねず、更には買い取り後に発生する不具合についても期限の縛り無く減額の理由に捏造出来てしまいます。よって、あくまでも個別の状況に依りますが、業者からの一方的な減額要求は拒絶出来る可能性があります。

問題への対処方法

トラブルの種類によって対応は千差万別ですが、ここでは口頭の交渉などが決裂した後の手続きについて説明します。まず、民事における金員を請求する側と請求される側の双方においては、「請求される側は事態が有耶無耶に収束してくれれば良い=動く必要が無い」一方、「請求する側は行動しなければ何も状況が変化しない=自発的に様々手続きを踏む必要がある」為、「請求する側の負担が大きくなる」のが常です。よって、これらトラブルにおいても業者から違約金など金員を請求される立場の場合に法的な有利不利は別として手続きの負担自体は軽く、逆に減額要求などを撤廃させて金員を支払わせたい時、こちら側が積極的に働きかけ、場合によっては訴訟など手続きを踏む必要が出てきます。ただ、請求される側であっても無視だけではなく、「請求を拒否した事実とその理由」を証拠として残すことが望ましく、いずれの立場においてもまず第一歩は内容証明郵便にて以下のようなポイントを押さえた文面を送付することが通例です。

  • 契約内容、トラブル経緯の概要
  • こちらの要求、法的根拠
  • 対応の期日・方法を指定
  • 期日までの対応が無かった場合のこちらの意向

上記(4)について、内容証明郵便送付後も話し合いが決裂した場合はほぼ「訴訟」となります。裁判所を介した民事手続きには他にも「支払督促」や「民事調停」があるのですが、支払督促は「異議の申し立て」が可能で民事調停は合意が出来なければ不成立となります。つまりある程度双方に歩み寄る意思が無ければ意味を成さない為、民事では内容証明郵便で最終確認をして駄目なら訴訟という流れが費用を安く抑える定番です。

まとめとご案内

以上のように自動車の出張査定買い取りのトラブルは増加しており、新たな法規制が待たれるところですが、現況、変に消費者とのトラブルに長けた業者も多く、交渉は中々上手くいきません。自身での手続きが困難な場合、金銭面の折り合い、そして手前味噌となってしまいますがやはり当職含め安価で依頼出来る専門家にご相談頂くことは一つの選択肢としてお勧めです。

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