強引なエステ契約・美容商品販売、トラブル

以前は強引なエステ契約・美容商品販売といえば大半は「キャッチセールス」によるものでしたが、多くの繁華街でキャッチセールスが禁止となった現在は「無料体験」「特別モニター」などで店舗に呼び出して契約を迫る形に移行しています。また、最近は男性向け「メンズエステ」が流行で、こちらも同様に強引な勧誘による契約トラブルがあるようですから、これら契約の注意点、対応策などを纏めます。 尚、以下をご確認頂き、ご自身の件と類似する点や不明点などが少しでもありましたら一度直接お電話にてご相談頂くことをお勧め致します。当事務所では詳しく状況を伺ったうえ適切な対応をアドバイス致します。無料相談ご希望の方は以下の番号までお電話頂くかトップページ「無料相談はこちら」の中にあるメールフォームからお問い合わせ下さい。電話窓口: 03-5794-5106 (日祝除く午前10時から午後7時)

トラブルの種類

  • クーポン雑誌に付いていた「無料体験」でエステに行ったら強引に自宅用美顔器の勧誘を受け、無理矢理契約させられた。
  • 街頭で「無料アンケート」に答えて貰った商品引換券を持って指定場所に行ったらエステの勧誘、断り切れず契約した。
  • 「1ヶ月で効果が出る」と言われ購入した痩身器具を使用しているが全く効果が見られない。
  • 施術中肌に違和感があり、帰宅後から赤く腫れ始め痛みも出てきた。エステに確認してみたが「体質のせい」「一時的なもの」とだけしか言われず、コースの変更もして貰えない。

ここでも「タダほど怖いものはない」は金言です。これらエステや関連商品の契約は100万超の高額販売になることも珍しくありませんが、「○○万の契約を勧誘したいので来てください」と正直な説明を受けて赴く人は殆ど居ませんので、「無料体験」や「特別モニター」が使われます。もちろん普通の店舗は「体験やモニターを介して商機を広げられたら」との姿勢で「強引な勧誘を致しません」と宣言していますが、そもそも商売としてはそれが当然で、裏を返せばそれだけ他に強引な勧誘をしている業者が存在しているということになります。また、これらエステや美容商品の効果は個々人の体質の違いに大きく関与しますので、確実な結果を約束することは出来ず、肌荒れや体調変化など不慮の事態が生じる可能性もありますが、勧誘時におけるそれらリスクの説明、いざトラブルが発生した際の対応はなおざりになりがちです。ではこれら契約において何らか納得出来ない状況となった場合にどのような対処方法があるのか、以下列挙してみます。

クーリングオフ

期間が1ヶ月を超え金額が5万円を超えるエステはクーリングオフが可能(健康食品・化粧品・下着・美容機器など「関連商品」も自らの意思で開封・使用してしまった分を除きクーリングオフ可能)で、規定の契約書面発行から8日以内であれば「特に問題は無いけどやっぱり辞めたい」「高額だから考え直したい」「無理矢理契約させられたので取り消したい」などの理由は問わず、無条件で契約解除出来ます。クーリングオフ妨害などトラブル防止の為、規定どおり書面による方法で手続きしましょう。

中途解約

エステのサービスは長期に亘りその効果を期待するものですから、その有無を判断する時点でとうにクーリングオフ期間は経過してしまっています。その為エステには「中途解約」の制度もあり、契約期間中であれば何時でも以下の金額を負担することで中途解約可能です。よく「残り回数が沢山あったのに中途解約したらお金がほとんど返って来なかった」といった相談を受けますが、その場合業者が法律に沿っていない可能性があります。ちょっと面倒臭い計算になりますが、業者に明細を出してもらい以下「特定商取引法」規定の清算になっているか確認してみましょう。

中途解約で負担する金額

1, 違約金
役務提供前・・・上限2万円
役務提供後・・・2万円または契約残額の1割のどちらか低い方
2, 初期費用・入会金
中途解約時の返金を少なくする為に敢えて大きな初期費用を設定している場合もありますが、妥当とされる額しか認められませんし、事前に契約書で明示・説明する必要があります。具体的に妥当とされる額とは個別のケースで異なりますが、上記役務提供前の違約金(上限2万円)が「契約の締結及び履行に要する費用」=初期費用の目安とされています。
3, それまでに受けた回数分のエステ代金
こちらも中途解約時の返金を少なくする為に「契約時はキャンペーンの特別割引価格だったので定価で計算しなおします」などとされることがありますが、契約時の価格で計算します。また、よくある「回数無制限」については月毎の代金を算出し経過した月数分を負担します。
4, 消費した分の商品代金
自らの意思で開封した商品の代金分です。業者が説明の為に使用した分や「試しに使ってみて」と開けさせた分は含みません。個別包装され大箱に入っている商品などは個別で開封した分について計算、負担します。

具体的な計算例


入会金・・・10,000円
役務代金・・・20回で200,000円
関連商品・・・10本入りで100,000円の化粧品
契約期間・・・2年
契約総額・・・310,000円

この契約を開始から4ヶ月目、役務を6回受け、関連商品3本を消費した時点で中途解約する場合..

違約金 → 14,000円(残存代金140,000円の1割が2万円より低い為)
入会金 → 10,000円(目安以下なので全額承諾)
役務代金 → 60,000円(1回辺り10,000円×6回)
商品代金 → 30,000円(1商品辺り10,000円×3個)
合計金 → 114,000円
返金分 → 196,000円(契約総額-合計金)

..結果、ここでは契約総額310,000円の内、196,000円の返金を受けられる計算となります。


クーリングオフ・中途解約以外の対応要求

「不実告知(虚偽説明)・断定的判断の提供」を理由に契約の取消要求
例えば「この施術を受ければ3ヵ月で10cm細くなりますよ」との説明があった場合、上記のとおり施術の効果というのは個々人の体質の違いに大きく関与するもので、(仮に多くの実績がある施術であっても)それら確定出来ない将来的な事柄について「必ずこうなります」などと説明することは「断定的判断の提供」となり、他方、その施術に痩身効果が無いことを知りつつ嘘を付いていれば不実告知(虚偽説明)となりますので、いずれにおいてもこれら説明は消費者契約法違反に該当し、契約の取消要求が可能となります。(※1)
「退去妨害(困惑)」を理由に契約の取消要求
しつこい勧誘を拒絶しても辞めてもらえず、その場から退去させて貰えなかった場合、消費者は正常な判断が出来ない状態=困惑した状態となり、後から消費者契約法違反を理由とした契約の取消要求が可能となります。勧誘を受けた時間の長短は関係無く、拒絶の意思表示は「時間が無い」などの間接的表現、身振り手振りなども含みます。(※2)
※1、※2)不実告知や退去妨害は口頭ベースのやり取りが争点ですが、立証責任は「消費者側」にあり、いざ裁判の場で証拠を求められても殆ど何も出せないのが実状です。しかし間接証明から裁判官が「消費者契約法違反があったと見るのが自然」と判断した例も沢山あり、つまりどちらに転ぶか判らないのですが、クーリングオフや中途解約と違い「主張と同時に効力が発生するものではない」ことを留意しなければいけません。
エステが倒産、閉鎖した場合
トラブルの種類は違いますが一番多いかもしれません。倒産にせよ閉鎖にせよ当初の約束を実行出来なくなった=債務不履行を理由に契約解除・損害賠償を請求出来ますが、本社が経営上の判断で支店を閉鎖するような場合を除き、相手が居なくなるか、居たとしてもお金を回収出来ない可能性が高く、かなり厳しい状況です。ただしローンを組んでいる場合、クレジット会社に対し「支払い停止抗弁」の手続きをとることでほぼ、支払を停止出来ます。
皮膚疾患・損傷が発生した場合
繰り返しになりますがエステや美容商品による効果や結果は個々人の体質(アレルギーや免疫の有無、皮膚の強さなど)に大きく関与するもので、皮膚疾患・損傷の発生がイコール業者の過失、施術ミスとはなりませんが、仮に業者の過失が明らかな場合、治療費など損害賠償、損傷の部位や程度、後遺症の有無などにより慰謝料を請求することもあります。尚、エステは美容外科と違い医行為(皮膚を切開、注射、組織の切除・破壊など)に該当する施術は出来ませんので、いわゆる医療レベルのミスは余り発生しませんが、仮にその場合は医師法違反の疑いもあり、事実過去に同理由による逮捕者も出ています。(エステと美容外科の厳密な境界については省庁の縄張り争いの色合いも強く、なんとも事情が複雑ですのでここでの詳細は省きます)

まとめとご案内

実はエステの営業には免許も登録も必要ありません。勿論、技術や信頼の為に民間資格や国際ライセンスを取得、協会に加盟するなどしていることが殆どですが、極端な話、当職が明日からエステを開業することも可能(誰も来ませんが)で、結果杜撰な業者は多く、その場合にやはりコンプライアンスも低く、義務であるクーリングオフや中途解約すらまともに認識していないなど、話にならず骨が折れます。上記手続きは当然ご自身で行えることが理想ですが、難しいようであれば当職でも代行しており無料相談からご検討ください。尚、無料相談ご希望の方は以下の番号までお電話頂くかトップページ「無料相談はこちら」の中にあるメールフォームからお問い合わせ下さい。電話窓口: 03-5794-5106 (日祝除く午前10時から午後7時)

「エステを開業する側」を騙す資格商法や悪質なスクールについてはまた別で纏めますが、そちらのご相談もどうぞ。

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