未公開株について

「無痛注射針を開発した会社の未公開株」でまた10億円もの被害が出てしまいました。金融庁や警察などが懸命の対応を執りながら、なぜこれら未公開株被害は無くならないのか、次々登場する新たな手口、怪しい話はそこかしこですから、リテラシーによる被害の未然防止が要となってきます。

そもそも未公開株とは

  1. グリーンシートやIPO以外、市場では取引されていない。
  2. 販売出来るのは発行会社か登録を受けた証券会社。
  3. 通常、発行会社の代表や親族、主要取引先などが保持している。
  4. 面識の無い個人に分配されることはまず無い。

本来、本章ですべき注意喚起は上記4で事足りてしまうというか、「怪しきには近寄らず」で終わりなのですが、これら説明がそのまま「市場には出回りません」「今回は特例です」「特殊な事情があります」など業者の殺し文句、魅力に転じてしまうのが未公開株の厄介なところで、怪しいとは思いつつ踏み入れてしまう訳ですね。そして更に畳み掛ける為、業者はあの手この手を駆使してきます。

劇場型詐欺

色々な役割を演じる業者が登場しますが、以下のようなものが代表例でしょうか。

  1. 突然A社から連絡。「B社の未公開株を探している顧客が居る。もしそのような話があったら教えてほしい」
  2. 程なくしてB社から未公開株のパンフレットが郵送される。
  3. A社から連絡。「B社が特別顧客にパンフレットを郵送したそうだ。届いてないか」「是非購入して当社に転売してほしい」「倍の価格で買い取る」
  4. 消費者センターを名乗る機関より連絡。「未公開株の被害が多い」「何か変な話は来てないか」→B社の話をすると「そこは問題ない優良企業のようだ」

つまりは全部仲間内で役割を分担、聞いたことも無い本来無価値な未公開株をあたかも有望株のように誤解させる手口で、正に「劇場」です。尚、この劇場型詐欺のパターンは未公開株に限らず何にでも応用出来ますし、現に応用されています。

名義の詐称

ネットで「未公開株」と検索すると大手の証券会社や銀行、消費者センターまでもが「当方名称を騙る詐欺に注意してください」とわざわざページを作っていますので、それだけ詐称が多いということです。以前当職業務であった事例では郵送された封書の名前もロゴも全部大手企業ながら、電話番号だけが差し替えてありました。

救済型詐欺

助ける振りをしてまた騙す、2次被害/3次被害のパターンです。

  • 「立ち消えになっていた未公開株買い取りの件ですが、新たな購入希望者が出てきました」「購入希望者は別の銘柄も要望されていて、その銘柄と併せて高額で買い取るとのことです」「ついてはこの銘柄を購入して転売してください」
  • 「以前購入された未公開株の上場が決定しました」「ついては名義変更や登録に手数料が必要です」
  • 「以前被害に遭われた未公開株の発行会社代表が逮捕されまして、調査の仮定で隠し財産が発覚しました」「弁護士に手続きを依頼すれば損金を回収できます」

実は未公開株の被害者にリピーターは多いです。これも上記と同じく、「損金が返ってきます」と言われれば「十中八九それは無い」とは思いつつとりあえず話の中身を確認してみようとなってしまうのが人心で、そこから業者のペースに巻き込まれて行きます。

怪しい未公開株話の真偽の確認方法

未公開株は誰もが好き勝手に売買出来るものではありませんし、いきなり公開ともなりませんので、以下の事項を確認することでその真偽がほぼ判断出来る筈です。

仲介会社の登録を確認する
業として株式を販売する業者には金融商品取引業者としての登録義務があります。こちらで確認してみましょう。
株主名簿の開示請求
株主になったならば当然株主名簿に記載が加えられた筈です。発行会社に名簿の開示請求をしてみましょう。
株式の譲渡制限は廃止されているか
譲渡制限の付いた株式=未公開株とも言いますが、公開に際しては当然廃止しなければいけません。登記簿謄本で確認出来ます。
株主名簿管理人はどこか
上場会社は株式の管理を信託銀行や証券代行業者に委託する必要があります。上記信託銀行の名前を騙るのがココです。
担当した監査法人はどこか
上場後いきなり倒産では困りますから、会社の経営が健全かを判断する為、監査法人による2期分(2年分)の監査証明が必要となります。
幹事証券会社はどこか
企業に対する指導、新規公開株の審査・引受などを担当します。上記証券会社の名前を騙るのがココです。

過去に僅かながら上記詐欺のパターンを踏みつつもこれら条件をある程度満たすといった例がありました。そうなると当然詐欺とは言いいにくいのですが、そこで初めて得喪を含む「投資」になる訳です。よく「未公開株は投資だから損することもある」と聞きますが、詐欺の場合儲かる確立はほぼゼロですから「投資」とは言えません。

被害者の8割が高齢者

国民生活センターの2010年データによるとこれら未公開株や社債の被害者は60歳以上の高齢者が8割を占めています。そして総務省のデータによると高齢者のネット利用は年々増加しているものの、平成24年度の段階で60歳以上の平均は52%と未だ約半数です。そして総務省統計局の平成24年度家計調査報告によると60歳以上の世帯が貯蓄全体の6割を占めており、つまり業者が高齢者を狙い撃ちする訳です。これら背景から関係各所が発表している被害件数は氷山の一角でしょうし、まだまだ近年中にこれら被害が無くなることはなさそうです。ご親族、周囲の高齢者が怪しい話に巻き込まれていないかご確認ください。

被害に遭ってしまった場合

関連会社含め身元は追えることが多いのですが、そもそも詐欺目的で用意された会社(休眠会社を乗っ取る手口も多い)である為、長くは持ちませんし、これら業者が返金に応じるのはほぼ「まだ利益を得たいので今の段階で大事になったり逮捕されるのは困る」といった期間だけですから、とにかく時間とタイミングの勝負になります。具体的な手続きは他と同じく、内容証明郵便で所在・相手の意思確認を行い進展が無ければ訴訟、平行して警察へ相談、可能であれば他の被害者と連携などの流れになりますが、前述のとおり「救済型の詐欺」が横行していますので、返金手続きは基本的に自らが動くこととし、「消費者センター」でも「法律窓口」でも相手からコンタクトしてくるものに応じてはいけません。

まとめとご案内

最初の基本事項に立ち帰り、そもそも電話勧誘で販売される未公開株など先ず以て「無い」話です。何件も未公開株の返金手続きを手掛けてきましたが、数千万円、老後の資金全額を投じてしまってるなど深刻な例もあり、誰しも当初は「ちょっとした儲け話」程度の感覚だった筈ですが、特にこれら業者は知謀に長けており甘くありません。真偽の判断含め早い段階で相談頂くことをお勧めします。
尚、無料相談ご希望の方は以下の番号までお電話頂くか、トップページ「無料相談はこちら」の中にあるメールフォームからお問い合わせ下さい。
電話窓口: 03-5794-5106 (日祝除く午前10時から午後7時)

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